「日経ものづくり」7月号の特集〜日本の品質の再定義〜にインタビュー記事の」掲載される
「日経ものづくり」7月号の特集の〜日本の品質の再定義〜に、私のインタビューが掲載されました。ここ数年、タカタのエアバッグ、新幹線の台車に亀裂、デンソーのポンプ、神戸製鋼や三菱電機のデータ偽装の品質問題が絶えません。特に最も懸念されているのはデータ偽装です。私のこのインタビューでは、これらの品質問題を全てごっちゃにして語らないで、しっかり区別して考えましょうということをお話ししました。
一般的に”品質問題”といっても、「どこの部分にどんな問題があるの?」とい聞くと答えられない人が多くいます。その理由は”品質”の意味を”ものづくりの悪いところ全部”を一括りに”品質が悪い”と言ってしまっているからと思います。
一般のユーザーが「そのドライヤー品質いいね」と言った場合はどうでしょう?この場合は「何年使っても、壊れない」や「折り畳み機構がしっかりしている」などと思います。設計者が部品メーカーに対して「このメーカーは品質がいいね〜」というのは「予想以上に表面が綺麗だ」とかの意味で言っていると思います。この2つの意味は「自分の経験や他社と比較して、満足できるモノですね」という意味になると思います。つまり、設計技術や加工技術た良いのです。
製品を組み立てる工場は、部品を購入して組み立てます。納入した部品が仕様書のスペックに入ってなかったり、スペックギリギリでOKであったときに「品質が悪いな〜」となります。それは、「約束したスペックに入っていない、もしくはギリギリだ」ということになります。
これらの2つは製品や部品の状態は同じような感じとしても、意味は違っていて、その品質を管理する人も違います。前者は基本、その製品や部品の設計者や部品を実際に作る技術者の腕に依存し、品質が高ければ高いことに越したことはありません。一方、後者は同じバラツキのものを作り続ける製造技術であって、品質が高い、低いの問題ではなく、指定されたバラツキに入るか入らないかの問題です。
いずれにせよこれら2つは、技術の問題になります。ところで、品質偽造は技術の問題ですか?法規制申請のし忘れが判明しても放置した、申請データを偽装した。これらは技術の問題では全くなく、企業のモラルの問題なのです。モラルというとまた分かりにくくなるのですが、コンプライアンス違反がバレなければOKと判断するか、見つかる見つからないに関係なく、コンプライアンス違反はNGと考えるかの違いです。コンビニ泥棒しても見つからなければOKか、と同じです。これは企業の根底にあるコンプライアンスに対する姿勢が問われている問題なのです。つまり、企業のコンプライアンスに対する姿勢がダメだったということです。
これは、技術に依存する品質問題とは全く別問題と考え、また対処の仕方も全く異なると思います。ごっちゃにしてものづくり企業の”品質問題”として語ると、何について語っているのかよく分からない会話になってしまいます、ということをお話しさせていただきました。