NFTって本当に成り立つの?

先回のコラムで、NFTについて「興味価格」と「時間価格」という観点からお伝えしました。ちょっと分かりにくい内容だったかもしれないので、本題に入る前にもっと簡単に説明してみたいと思います。

ゴッホの「ひまわり」の絵画は、日本がバブルの頃オークションで8億円の価格が付いたのを覚えています。もちろん本物のゴッホが描いた「ひまわり」の絵画の価格です。正確に言えば「ゴッホが描いたと鑑定された『ひまわり』の絵画」になります。見て触れる「モノ」は、本物か偽物かを専門家の鑑定で判別できるので、「本物」が存在します。そして、それに価値が付きます。そしてコピーは偽物と呼ばれ、ほとんど価値のないものになります。

一方、デジタルデータはどうでしょうか?本物とコピーは判別できません。デジタルデータには偽物という言葉が存在しないのは、きっと100%コピーできてしまうからだと思います。 では、例えばゴッホのような人がデジタルデータで描いた「ひまわり」は将来どのような価値がつくのでしょうか?本物と同じ、100%コピーのデジタルデータに8億円の価値がつくのでしょうか?それとも、デジタルデータは簡単にコピーができてしまうので、価値は付かないのでしょうか?

もし価値が付かないとすると、アーティストは浮かばれません。コピーが氾濫してしまいどんな優れたアートも無価値になってしまっては、それを購入した人も困りまるし、また業者が販売することもできません。そこで、このようなことを回避するために、モノの鑑定と同じく「これが本物」と証明するものがNFTになるのです。

しかし、私はふと思いました。デジタルデータはコピーしてバックアップをとるのが通常です。PCなどの電気製品は壊れる可能性があるので、外付けメモリーや外部サーバーなどにコピーをバックアップしておきます。価値のある大切なものほどコピーをして保管しておきたいですね。そうしたとき、どれが本物になるのでしょうか?私たちは、パワポで資料を作ったときや自分で撮った写真なども、必ずコピーをして保管していると思います。そして、そのコピーを変更や加工して、また新しいデジタルデータを作成する場合もあります。上書き(更新)ですね。そのとき、どれが本物なんて意識はありません。それを受け取った人や購入した人もその意識は変わらないと思います。ということは、バックアップでコピーしたデジタルデータは「本物ですか?偽物ですか?」ということになります。NFTはいったい何に紐付くのでしょうか? NFTって本当に成り立つのでしょうか?

実はこれを解決するのが、NFTの仕組み1つである「取引可能性」らしいのです。間違っていたらすみません。簡単にいうと、自分の指定したコピーを「本物」とすることができるのです。ということは、NFTは「本物を指定できる権利」みたいなものなのでしょうか。

やっと分かってきたと思います。NFTは「本物を指定できる権利」にデジタルデータが紐付いていのです。ビットコインの場合は「私が持っているのは『1』ビットコインだから○○円と交換してね」、でありNFTは「私が持っているのは『ひまわり』NFTだから○○円と交換してね」となるのです。○○はその時の市場価値になります。こうして、デジタルデータの売買ができることになります。だから、「Non-Fungible token」トークンと呼ばれるのですね。

しかし、どのコピーでも本物にできるというのも、なんだか本物の価値が薄れてしまう気がします。しかし、実は絵画の鑑定書も同じではないでしょうか。たとえ偽物のひまわりであってもそれが鑑定士にしか判別できなかった場合、偽物のひまわりに鑑定書が付けば8億円の価値がつきます。本当は絵画に価値があるのではなく、鑑定書に価値があるということになります。こう考えると、NFTは十分に成り立つことになります。

NFTは仮想通貨の一種であり、その価値を数字に紐づけるのではなく、デジタルデータに紐づかせたのだと思います。素晴らしいことを、思いつく人がいるものです。

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