中国人には絶対に理解できない日本人の国民性「そもそも べき すじ論」

数ヶ月前、ウクライナのゼレンスキー大統領が日本の国会で演説をしたいと申し出てきたとき、日本の政府に最初のコメントは「『他国の大統領の国会での演説は前例が無く』、『国会に設備が無い』から検討する」でした。「国会に設備が無い」は仕方がありません。設備を整えるか、場所を変えるかの検討が必要でしょう。でも、「〜前例が無い」は何が問題なのでしょうか?

国会で演説するセレンスキー大統領

「ゼレンスキー大統領の国会での演説」と「〜前例がない」はよく考えると、全く関係はありません。あなたが「 テニス仲間でバーベキューしようか」と友人に言ったところ、友人から「前例が無い」とコメントされたら、「えっ、だから何?」と思うのではないでしょうか。

しかし日本の企業や政府などの組織では、この言葉が一般的に横行しています。そして、その後に続く言葉は「〜誰が責任とるの?」となります。私はこの「〜前例がない」を「そもそも べき すじ論」と言っています。「そもそも他国の大統領の国会演説は前例ないよね、だから国会とは別の機会を設けるべきで、そこから話を始めるのがすじゃない、私は責任は取れませんから」となるでしょう。

このコラムでは、日本人は何故「そもそも べき すじ論」を最初に持ち出すかをお伝えしたいのではなく、この考えが日本の進歩を遅らせ弊害が出ている、ということです。

よく、日本人は「やって良いことをする」、中国人は「やっていけないこと以外をする」と言われています。中国では、自宅で充電できる電動バイクがとてもたくさん走っています。価格は2009年当時で、1500〜3000RMB程度でした。2〜4万円くらいです。時速は60キロくらいしか出ませんが、とても便利で町中を走っています。一般道路の脇に専用道路のあるところもあります。日本では、何かの法律で電動バイクは認められないそうです。人がいて道路があって、何が違うのでしょうか?電動バイクが走れるように、法律を変えれば良いだけだと思います。個人のドライバーとお客をつなぐ滴滴やEVのカーシェアなど、中国ではどんどん新しいモノやサービスが生まれては姿を消していきます。そして、確実に国は進歩しています。

以前、日本のある地方で子供の登校用に狭い歩道を多額の税金を使って広く整備したのに、子供はそこを歩くことはできず何年も使用されず放置されている、とニュースで見たことがあります。広く整備した歩道側に行くためには道路を渡る必要があるらしく、そのための信号機を設置することが出来ないとのことでした。信号機を設置することが出来ない理由は、信号機の間隔は法律的に最低150m以上が必要で、適切な場所に設置することが出来ないとのことだったのです。この場所だけ、150m以下にすれば良いことだけだと思います。150m以下にした場合のデメリットと広くなった歩道のメリットを比較すれば良いのだと思います。「やって良いこと」に縛られた結果、自分達の首を占めているのが日本人なのです。

中国人は、この「そもそも べき すじ論」は全く理解できません。理解できないというより、その発想がないのです。「何言ってるの?」という感じになります。私の身近でも国会答弁でも、この「そもそも べき すじ論」は多発していると思っています。「そもそも べき すじ論」が、ゼレンスキー大統領の話のように本題には全く関連していないことにも気付かず、そして、もしかしたら自分達の首をも絞めていることに気付かない人がたくさんいます。

私はこのようなときに、全て「何故」と考えることにしています。「何故?」の説明が自分で出来なかったり、他の人からその説明が得られないときは、「そもそも べき すじ論」にこだわってしまっていることが分かります。あらゆることに「何故?」と思うことはとても大切ですね。

こんな中国人を、よりよく理解してそして学んでいくことが、今の日本には必要かもしれません。理解せずビジネスを進めていくと、時としてはドラブルになりがちです。詳しくは「コミュニケーション上のトラブルを無くす」をご覧ください。

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