NFTから想像するデジタル世界の未来

NFTとはデジタルデータ上で「これが本物だと証明するものです。私たちは、リアルの世界で本物のモノやサービスを売買して経済を回しています。本物のモノとは、洋服であったり家電であったり、雑貨であったりします。サービスとは、保険や観光などことです。しかし、たまに偽物ってあります。ブランドのタグだけ付けている洋服、ブランドのバッジだけ貼り付けた家電などです。有名ブランド名の付いた高級バッグなんかは、中国に行くと当たり前のように売っています。

しかし、これらのほとんどは一般の私たちでも見分けられる場合が多いので、そんなに大きなトラブルが起こることはありません。しかし、デジタルデータ上ではどうでしょうか。デジタルデータは100%コピーできてしまうので、偽物を識別することは不可能となります。そこで出てきたのがNFTとなるわけです。

デジタルデータ上で、ブロックチェーンの技術を用いた経済圏ができると、デジタルデータの売買が行われることになります。そうしたときに、このNFTはとても重要となるのです。

話は変わりますが、ここに2枚の写真があったとします。1枚の写真は古ぼけたアパートとそのアパートの管理人のおばさんの写った写真です。私が小さい頃に住んでいた遠い異国のアパートですが、現在私はある都合でその異国に行くことは叶わず、友人に代わりに行ってもらい撮ってきてもらった写真です(これは例え話です)。何の変哲もないアパートとおばさんの写真です。そしてもう1枚は、とてもきれいな富士山と夕焼けの写真です。パソコンのデスクトップの背景にしたいくらいのきれいな写真です。

では、私にとってこれら2枚の写真はいくらの価値があるでしょうか。アパートの写真は、もしかしたら10万円以上の価値があるかもしれません。その理由は、わざわざ友人に異国まで行ってもらい写真を撮ってきてもらったからです。彼の費やした時間や飛行機代を考えての価値です。では後者はどうでしょうか。いくらきれいな写真であっても、高くて1000円くらいだと思います。きっと10枚ぐらいは売れているだろうから、写真を撮った人は合計で10,000円くらい儲けているでしょう。

ここで私が言いたいことは、モノの価値は時間で管理されているということです。異国まで行ってくれた人の使った時間、 そして飛行機代です。飛行機代も時間で管理されていますが、説明は長くなるので割愛します。

私たちが日常買っている食べ物や雑貨の価格も、全て時間で管理されています。つまりどのくらいの時間をかけてそのモノが作られたかということです。材料費もありますが、材料費もその材料がどのくらいの時間をかけて作られたかで算出されます。結局は、価格はすべてそれを作った時間に対する対価なのです。私はこれを「時間価格」と名付けています。

よく価格は需要と供給で決まると言われます。この意味は、前述した時間価格に加え、そのモノを欲しい欲しくないという購入者の興味の度合いで価格が微調整されるということです。 私はこれを「興味価格」と名付けています。計算式を書くと次のようになります。

市場価格=時間価格±興味価格

市場価格とは、最終的に市場で販売されている価格のことです。私たちの身の回りにあるモノのほとんどは、上の式で価格が設定されています。 時間価格と興味価格の占める割合を考えた場合、モノによって様々ですが、時間価格が90%、興味価格が10%くらいといった程度ではないでしょうか。

こう考えてみたとき、ゴッホのひまわりの絵画はどうでしょう。過去に競売で58億円の価格が付けられましたが、この価格は上の式に当てはまるでしょうか。ゴッホが、58億円に相当する価値であのひまわりを描いたとは考えられないのです。一生かかって描いても、いくら高級な絵の具を使って描いても58億円にはならなりません。ゴッホが描いてから長期に保管されていたのでその労力も加算されますが、それでも58億円にはとてもならないでしょう。私が考えるには、時間価格は1%くらいで99%は興味価格になっていたと思います。

私は、人がそのモノ本体を本当に欲しいと思う気持ちは、時間価格にしかないと思っています。そして、そのモノがどのくらいの時間や労力をかけて作られたかに対して、対価を支払って購入するのです。では、ゴッホのひまわりの絵画を58億円で購入した人を考えてみた場合、おそらくこの人はゴッホの絵画そのものに1%くらいは価値を感じたかもしれませんが、99%はゴッホの絵画が好きなのではなく、転売を目的に投資のために買っているのだと思います。つまり、興味価格は投資の対象としての価格ということなのです。

さてここでデジタル世界におけるNFTの市場価格を考えてみた場合、時間価格と興味価格の割合はどのようになるのでしょうか。私が考えるには、ゴッホのひまわりの絵画と同じようにほとんどは興味価格になるのではないかと思っています。その理由は、デジタルデータは簡単にコピーができてしまうので、そのデジタルデータを作った時間と労力に対する価値はとても小さくなってしまうからです。ということは、デジタルの世界ではNFTは株の売買と同じように投資の対象にしかなり得ないということになります。リアルの世界での経済圏をそのままデジタル上で再現するためにNFTがあるのですが、実際はそうはいかないのではと思っています。

NFTがリアルの世界でデジタル化された様々な重要書類の証明として活用できる点に関しては素晴らしい技術と考えています。しかし、デジタルデータのNFTを用いての売買に関しては、投資対象としか扱われないのと考えます。もしそうなってしまったら、ちょっと虚しく、またあまりのめり込むと「金、金、金」の人間になってしまう懸念が感じられます。

NFTに関しては、下記もご参照ください。
NFTと興味価格
NFTって本当に成り立つの?

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